[PR]

 で与党が過半数を割り、国民の信任を得られなかった石破首相が、第2次内閣を発足させた。与党だけでは予算案も法案も通せない少数内閣の船出である。野党各党との開かれた協議を通じて、丁寧な合意形成を図る以外、活路はないと心すべきだ。

 特別国会がきのう召集され、が行われた。衆院では、1回目の投票で過半数を得た候補がおらず、30年ぶりの決選投票の結果、石破氏がの代表を破った。投票総数の2割弱の84票という大量の無効票に助けられた。

 自公にも立憲にも、現時点でくみすることはできないということだろうが、無効になるとわかっていて、自党の代表への投票を続け、結果的に首相の続投へ道を開いたやの行動は釈然としない。特に維新の場合、近く代表を退くことが決まっている馬場伸幸代表を推すことが、責任ある態度と言えるか疑問である。

 石破内閣は40日ほど前に始動したばかりで、第2次内閣は、衆院選で落選した法相、農林水産相と、の代表に就任した国土交通相の3閣僚の後任を選んだ他は、すべて再任となった。

 少数与党内閣は94年4月に発足した羽田内閣以来である。(当時)の連立離脱で過半数を失い、決議案が可決される見通しとなったことから、在任64日で総辞職に追い込まれた。首相にとっては、薄氷を踏むような政権運営となろう。

 まずは、国民の怒りや不信を甘くみて衆院選でしっぺ返しをくらった問題への対応と、新たな経済対策を盛り込む案の策定が試金石となる。

 首相はきのう、自民ので、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)と政策活動費の見直しなどは「年内に決着を図りたい」と述べた。野党各党に協議を呼びかけているが、企業・の禁止など、他の論点も俎上(そじょう)に載せるべきだ。

 政策面では、国民民主との連携を優先し、自公国の協議が始まった。「過半数の確保」という数合わせありきではなく、政策決定過程の透明化と熟議の国会の実現につなげてもらいたい。

 衆院の委員長ポストは野党への割り当てが大幅に増え、論戦の主舞台となるは立憲が委員長を務めることになった。第2次以降の「1強政治」で空洞化した国会の機能を立て直し、与野党伯仲を選んだ民意に応えるのは、与野党双方に課された責務である。